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第1回日本医療用光カード研究会論文集、23-24、1990年

[パネルディスカッション3]

リード・ライト・テバイスの規格統一について

平山和博
キヤノン株式会社 HCタスク

1.規格統一(標準化)とは
 そもそも標準化とは、複数の独立した提供者による装置、媒体、システム間での「Interoperability」を実現するための公開のルールを制定することである。標準化とは、社会の便益に役立つ事が主旨であるから「Interoperability」を実現する手段は商業べ一スに乗る程の経済性を満たす必要があるし、また最新、最良の技術の恩恵を排除するような事も避けねばならない。
 この様な大前提のもとに、装置、媒体、システムメーカーやユーザー間(時には国家間)の利害を調整し、妥協点を探る作業が標準化審議である。また、標準化作業に時間がかかり過ぎるとその間に情勢が大きく変化し、せっかく標準化したものが実際には役に立たず誰も使わない標準になることになる。また標準化を急ぐあまり、技術の進歩を無視した標準を作ると、技術の進歩を阻害することになったり、はたまた誰も使わない標準になる。
 この様に標準化とは、様々の矛盾が絡む必然性があり、「標準化とは、どの時点で見ても、常に手遅れであり、かつ時期尚早である」と言われる所以である。
 とはいうものの、「標準化」は新しい技術を社会の役に立たせるためには、重要な必要条件のひとつであることに変わりはない。

2.標準化の対象
 光カードシステムを想定して、「Interoperability」を実現するには、どの様な事項をルール化しておかねばならないかを考えてみた結果を(図1)に示す。
 「Interoperability」を完全に満たすためにはこれらのすべてに渡って共通のルールにのっとっている必要がある。

図1 標準化の対象となるさまざまな局面

3.標準化の現状
(図1)における「物理的フォーマット」の部分について、数年前から、日本、米国、欧州で、それぞれの標準化活動が進められてきた。

 今年の2月に、国際的な標準を審議するワーキンググループがISO/IECのSC17の下にWG9として設置されることが決定された。WG9の第1回ミーティングが、今年7月31日,8月1日にロンドンで開催された。その中で、今後の審議のための大枠が確認された。まず、その1は審議の対象とする技術をLinear Recording Method(図2)とすること。また、その2は、審議の範囲を
 Part 1 Basic Card Physical Characteristics
 Part 2 Dimension and Location of the Optical Media
 Part 3 Optical Properties and Characteristics
 Part 4 Logical Data Structure
とすることである。この範囲は、(図1)の「物理的フォーマット」に相当する。International WG9 の設置に対応して、国内WG9も設置され、8月21日に第1回のミーティングを持ち、具体的な審議活動が始まっている。

図2 光カード記録/再生方式


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