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第2回日本医療用光カード研究会論文集、35-36、1991年

[一般演題5]

地域健康管理における光カードの利用

○林 恭平、小笹晃太郎、東あかね、渡辺能行、青池 晟
京都府立医科大学 公衆衛生学教室
川井啓市
オリンパス光学工業株式会社

はじめに

 我々は今後の重要な医療の問題としての地域住民の健康管理のあり方を模索するためにモデル地域を対象に健康管理を実践しながらこの問題を検討研究してきている。その検討項目の一つに健康管理に必要な情報を管理する方法の問題があるが、その解決法の一つとしてカードメディアの利用を研究している。具体的には現在可能なカードメディアのなかから光カードを採用し、モデル地域で健康管理の情報を記録するための健康管理光カードの発行を実施しながら、地域健康管理システムの中での光カード利用の検討を行っているので報告する。

目的

 カードメディアを利用する際の問題点は、以下のような内容であり、これらの項目を検討することが本研究の目的である。
1.社会学的問題
○利用目的、理由:カードメディアをどのような目的、理由で利用するのか
○発行者、管理者:カードメディアを発行する機関、発行者は誰か、カードを管理するのは誰か
○利用者、所持者:カードを保持し、利用するのは誰か。プライバシイ問題等に関連するカードの利用範囲や利用権限等の問題
 等と言った医療情報の基本的な問題であり、医療情報そのものが持っている社会学的な面を考慮した健康管理システムでのカードメディアの位置づけを明確にする。
2.工学的問題
どのようなカードメディアを採用するかの選択規準となるハードウェアを中心とした工学的問題で次のようなことが挙げられる。
[性能]カードメディアの記憶容量、記録の安定性、情報の入出力速度、記録の再書き込みの可能性等のメディア自身の基本的なハードウェア。
[入出力装置〕情報の記録およびその情報の再生を行うカードメディアに関する入出力装置のハードウェア。
[基本ソフトウェア]記録媒体としてカードメディアを利用するための基本的なソフトウェアで、オペレーティングシステム、記録方式、記録形式、ファイル構造(シーケンシャル、ランダム)等を考慮する必要がある。
3.医学的問題
カードメディアに記録された情報をどのように利用するか、医学的な観点を中心に検討する必要がある。即ち
○記録される内容:目的のためにどのような情報が必要であり、また可能であるか。
○利用する情報の入出力プログラム:情報源からカードに情報を入力する段階から目的の情報を検索、出力表現する段階までの各種のカード利用のためのプログラム
○カード情報のバックアップ法
等システム全体から細かいユーティリティまで考慮する必要がある。

結果

1.カード利用の目的は地域住民の0歳から墓場までの健康管理を目指し、その健康管理情報を管理するメディアの一つとして光カードを採用する。即ち図−1に示す健康管理情報の管理方法のなかの分散管理のメディアとして光カードを採用する。

図−1

2.カードの発行はモデル地域である人口約6500人の町の町役場で行っている。被発行者は現段階は、町で毎年行っている成人健康検診を受診している受診者の一部の地区の住民であるが、段階的にこの地区を増加して将来的には全町民を目標にしている。
3.カードの所持管理は、このカードが全町民に発行され亘る時点には各住民が所持することにする予定であるが、現段階では町の中核医療機関で保管して、検診の事後指導および検診受診者がこの医療機関を受診した際にこのカードを利用する。
4.今回採用したカードメディアは、記録容量、情報の安定性等から2Mバイトの記録容量を持った光カードである。光カードの専用入出力装置、およびカードメディアはオリンパス光学で製作されたものである。カードのバックアップは光磁気ディスクでおこなう。
5.光カードは専用入出力装置に用意されたデバイスドライバーにより、計算機からみれば、2Mバイトの記録容量を持ったライトワンスのメディアとして処理ができ、記録された情報はMS-DOSのファイルとして扱うことができる。今回記録している情報は基本的にMS-DOSのテキストファイルである。
6.現段階で記録されている情報は、町と当教室で毎年行っている成人健康検診の年度ごとの検査データ、検診結果等で以下に分類される。
A)個人識別情報として姓名、生年月日、住民番号等
B)血圧、血液、血清検査の数値情報等の検査データそのもの
C)X線、心電図等の画像情報は検査結果としての診断判定情報
D)検診時の問診、アンケート等は、その回答番号
E)検診の診断判定結果は、これまで住民に渡していた検診結果用紙に書き込まれていた内容をそのまま書き込む
7.カード応用プログラムは
○既に利用している健康検診用のデータベースから光カードに書き込むプログラム
○事後指導、および医療機関受診時に検診結果を参照、表現するプログラム
に大別できる。

考察

 このシステムは開発途上であり、実践結果をフィードバックすることにより改良していくが、現在はこのカードを利用できる医療機関はハードウェアの設置問題のため1機開であるが、将来的にこのカードの情報が多くの医療機関で利用されることを念頭に開発することが重要である。


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